自己破産はプライベートなことなので、できればだれにも知られたくないよというかたもいるかもしれません。
ここではケース別にどういうバターンで会社に自己破産を知られるのかについて書いています。
自己破産すると官報でバレる?
自己破産手続きを進めると、自己破産開始決定と免責の時点で官報に氏名と住所が掲載されます。
つまり、自分の氏名と住所、そしてなにより、自己破産したということが2度、官報にのってしまいます。
そもそも官報というのは法律などの公布、官僚の人事異動、会社の解散の公告などを掲載している新聞みたいなものです。
自己破産もその一部として掲載されます。
官報はほぼ毎日のペースで発行されています。
また、紙ベースではなく、インターネット版官報というものもあり、こちらはネットからでも見ることができます。
しかし、普段の生活のなかではなかなかお目にかかる機会はないと思います。
というのも、紙の官報はどこにでも置いてあるわけではなく、地方だと大きな本屋などでしか取り扱っておりませんし、
インターネット版官報を普段からみている人もぼぼいないからです。
だいたい官報を毎日チェックしているのは信用調査とかある一部の職業にひとたちにかぎられます。
ですから、100バーセントの確率でバレないとはいえませんが、会社の同僚などに官報で自己破産の事実が知られてしまうことはないのではないでしょうか。
自己破産すると給料差し押さえで会社にバレる?
自己破産をすると給料が差し押さえられて会社にバレてしまうとお考えのかたもいるかもしれません。
しかし、自己破産手続きをしていく中で、裁判所が給料を差し押さえるということはまずありません。
また、車は管財人により売却されることもありますが、そのほかの家財道具、たとえばテレビや冷蔵庫などはよほど高価なものではないかぎり差し押さえることはありません。
むしろ、自己破産の手続きをするまえに債権者への返済が滞っていたら、債権者が給料を差し押さえるので、会社側に債務があることを知られてしまいます。
債権者が差し押さえをすると裁判所から債権差押通知というものが会社に届き、給料の4分の1を差し押さえられます。
債権差押通知で会社に借金があることを知られると信用をそこなってしまいます。
債権差押通知を止めるには債権者に受任通知を送ることです。
弁護士か司法書士に債務整理を依頼すると受任通知を債権者に送ってもらえます。これにより、債権者は債権差押通知を送ることができなくなります。
まとめると、自己破産手続きで給料の差し押さえはありません。しかし、何もしないでいると債権者に給料を差し押さえられて、会社は債務があること知ってしまいます。
会社からの借金があると自己破産がバレる?
会社からの借金がある、たとえば従業員貸付制度などにより借りていることもあるかと思います。
会社の貸付制度は、カードローンに比べて審査が甘く利用しやすい点が魅力です。しかし、会社からでもお金を借りた以上は、会社も立派な債権者です。
裁判所は、自己破産手続開始が決定すると債権者に債務者が破産手続きをしたことを知らせる通知を送ります。
否応なしにこの通知で会社側は自己破産したことを知ってしまいます。
それでは会社からの借金だけを返済してしまってから、自己破産をすればよいとお考えのかたもいるかもしれません。
しかし、自己破産手続きの前に債権者のうち特定の誰かの借金だけ返済してしまうことを偏頗(へんぱ)弁済といい、危険な行為になります。
最悪、自己破産ができなくなる可能性もありますので避けたほうがよいでしょう。
逆に自分で支払ってしまうのではなく、親族などの第三者に会社の借金を代わりに支払ってもらえるのであれば偏頗弁済にはあたりません。
自分でなくだれかに肩代わりしてもらうことを第三者弁済といいます。
どうしても会社に知られたくない場合は第三者弁済を考えてみてください。
退職金があると会社にバレる?
退職金も債務者の財産の一部です。自己破産手続きのなかで退職金の手取り額のうち、8分の1は破産財団に組み入れられます。
たとえまだ退職していなくても、将来時点での退職金を計算して、その見積額の8分の1は債権者に分配するということになっています。
会社に退職金の規定がある場合は裁判所に報告しないといけませんので、
退職金が将来時点でいくらになるのかの資料を会社側に作成してもらう必要があります。
その過程で自己破産することを会社が知ってしまう可能性はあります。